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ぼくらのおとしもの (2)
夢を見た。
昔の。アルと母さんとみんなで一緒だった頃の。
今の生活になる前の。
すごく、すごく懐かしい夢だった。
ぼくらのおとしもの (2)
気がついたら、俺は自分の部屋のベットの上だった。
外は明るくて、朝の日差しがカーテンの隙間から入ってきている。
・・・・・・あれ?さっきまで学校の屋上に居なかったっけ?
此所はどうみても俺の住んでいるマンションの一室だった。
「夢かぁ〜」
はぁと安堵の溜息を漏らした瞬間、
「夢だなんて、非道いなぁ」
声が聞こえた。
や、やっぱり。夢ではなかった。
俺のいるベットに顔を覗き込む“ユーレイ”がいたから。
俺はベットの上にいたけど、気持ちだけユーレイと距離を離して後ずさりした。
でも、どうして俺は自分の部屋にいるんだろうか。
とりあえず元凶であるだろうその“ユーレイ”に聞いてみることにした。
「なぁ、俺どうして自分の部屋にいんの?」
「覚えてないのかい?」
ユーレイは少しばかり不服そうな顔をした。
覚えてない、本当に?
俺はもう一度記憶を辿ってみることにした。
・・・・・・。
今度ははっきりと思い出した。
屋上でこいつとあって、
他愛もない話しをしたらいきなり『ユーレイなんだ』とカミングアウトされて、
―――キス、されたんだ!
思い出したら何だかいたたまれない気持ちになったので、また後ずさりすることになった。
先程よりもユーレイとの距離は離れた。
それで、契約がどうとか、課題がどうとか言われて・・・・・・・・・、
どうなったんだっけ?
「なぁ、あれからどうなったんだ?」
「“あれから”ってどれから?」
そりゃ、以心伝心してる訳でもないから仕方ないけどさ、そんなところで聞かないでほしいな。
言いにくかったから代名詞で聞いたのに。察してくれ。
このままだと多分埒があかないので、俺は折れることにした。
「あんたがユーレイって言って契約とか課題とか言った後!」
ちょっと乱暴だったと思う。
けどそんなことは気にしなかった。
俺の苛立ち、ストレスを溜める根本的な原因はこいつにあるからだ。
それぐらいは察してくれているのか、ユーレイは気にしてない様子で、
「ああ、あの後ね」と、俺の言葉で何を言っていたのか分かったようだ。
「あの後、君の友達が屋上に来て―――、」
友達。
ああそうだ、授業が自習だったみたいでジャンが屋上に来たんだっけ?
それで、
「俺はまだ用事があって君の友達も来たから、君を残して、」
「あんたは消えたんだっけ?」
「まぁ、そんなとこかな。思い出したみたいだね」
「おかげ様で。・・・・・・それで、」
俺は今まで思っていた最大の疑問を問うことにした。
「あんたは本当にユーレイなのか?」
真剣に聞いていたと思う。
屋上でのことを思い出した今、もう目の前のことが夢だとも思えなかったから。
俺はユーレイの目を見て、ユーレイも俺の目を見つめ返した。
そして静かに口を開いた。
「本当だよ」
先程までの空気とは一変してどこかしんみりとした、
寂しげな空気が俺とユーレイの間を訳もなく漂っていた。
それは俺とこのユーレイとの距離を物語っているようだった。
「ユーレイでも人間や物に触ることだってできるし、逆に透けることもできる」
『こんな風にね』と、俺が乗っているベットに腰掛けた。
それからベッドの脇に置いてあった俺の目覚まし時計を片手に持った。
そして空いている手に向けて下に落とした。
目覚まし時計はその手を通り越して、そのまま重力に任せてベットの上に落下した。
普通はできないことだから、事前に聞いたことだけども内心すごく驚いた。
つまりは、ユーレイの意志で自由自在に使い分けることができるという訳だ。
「もちろん人間からユーレイは見えないけどね。
ただ希に俺のこと、・・・ユーレイが見えてる人間に対しては、通り抜けたり透けたりす
ることはできないんだ。その存在をしっかりと認識してるからね。
君には俺のことが見えてるから、通り抜けたりすることはないよ」
そう言って、またにっこり笑った。
けど、初めて見たときよりも寂しげなところが残っているような気がした。
「ちなみに契約はユーレイが人間の額にキスをして結ばれるものだから、俺とエドは既に契約済みだ」
やっぱり。
まさかとは思ってたけど。
「・・・・・・君にはいろいろと世話になると思うけど、これからよろしく、エド」
ユーレイから俺に手がさしのべられた。
俺は凄く複雑な気分だ。
ある日いきなり出会ったのはユーレイで、勝手に契約を結ばれてしまったのだから。
自然と不機嫌になるのは仕方がない。
気には食わなかったけど、握手はしておいた。
ユーレイの手はなぜか暖かかった。
―――ピンポーン。
「エドワードさん、入りますよ」
ガチャッとドアが開いて、玄関の方から声が聞こえてきた。
隣人のアルフォンス・ハイデリヒだ。
俺は慌てた。それはもう。
ユーレイは俺の慌てた理由を今度は正確に察したらしい。
「心配しなくても普通の人間には見えないよ」
そういえば、そうだっけ?と、何だか慌てていた自分が馬鹿だったなぁと思った。
自分には普通に見えているから、いまいち彼がユーレイということに実感がない。
ここでとりあえず安堵の溜息をついた。
つかの間、
「何やってるんですか?エドワードさん」
アルフォンスが近くに立っていた。
制服を着ている。制服を・・・・・・。
あれっ?今日って・・・、
「学校、遅刻しますよ」
「忘れてたっ!!!」
俺は昨日帰ってからそのまま寝てしまっていたようなので、再び慌てて急いで学校に行く支度をした。
アルフォンスは俺の横で、ご丁寧に今日の用意を読み上げてくれていた。
しっかりした奴だな、全く。
今は有り難いけど・・・。
そのお陰もあってか、準備もなんとか無事に終わらせることができた。
ふぅ〜。一段落だ。
「――それで、」
アルフォンスの目線が俺から移った。ユーレイの方に。
「そこにいる人は何方ですか?見たところ人間ではないみたいだけど。」
俺とユーレイは一瞬二人して驚愕の色を示した。
「・・・・・・おい。見えないんじゃなかったっけ?」
「一般的には。希に見える人間もいるさ、君みたいに」
アルフォンスはひとり、いつも通りの冷静さがあった。
にこにこと微笑んでいる。
「説明は登校中にお願いしますね。遅刻は困るので」
本当にどこまでもしっかりした奴だと思った。
To Be Continued .....
なんか2回目です。
全然話し進まなくて…´`
早くコメディ系に書きたいなぁ***
禁:転載
柚木原 奈々
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