ぼくらのおとしもの (1)




誰もが心の中に持ってる扉。
それに気づかぬうちに施錠する。


開くことのないように。





ぼくらのおとしもの (1)




 
―――アメストリス学園高等部。


バタバタバタッ!!!
誰かが走る音が聞こえる。
その“誰か”はもちろん自分だ。

「ちょっとエド、どこ行くのよっ!!!次、現国!」

後ろから幼なじみの声が聞こえた。
そんなものに俺は無視してただひたすら走った。

走り抜けた。

オアシスへの扉を開けた。

―――屋上だ。

この時間、まぁ授業中だから当たり前か、サボるのにうってつけの屋上には人がいない。
俺はそれをいいことによくこの場所に来ていた。
一種のお気に入りだな。

そして今日も俺は此所に来ている。

しかしながら今日に限っては俺の独占ではなく、先客がいた。
入り口の扉を開けたところで俺はいつにもなく違和感を感じ立ち止まった。
こんなことは初めてだった。

その違和感を感じさせた先客は外を眺めていたが、音で気づいたらしく振り返った。

その先客は俺と同じ制服、衣替えしたばかりの半袖のワイシャツに胸ポケットの一本線が入っていた。
俺と同じ一年だ。
でも漆黒の髪と同じ色をした目が、一目見て美形だと思わせる顔にプラスされて、
俺をそう思わせなかった。
なぜか大人びて見えた。

一瞬先客と目が合った。驚いた様子だった。

俺は発する言葉がなかった。


―――長い沈黙を破ったのはその先客だった。


「そこ、突っ立ったままじゃなくて、入れよ」
先客は苦笑しながら俺を手招きした。

「・・・・・・。」

俺にはまだ言葉が見つからなかったが、
このまま此所にいても仕方なかったのでとりあえず屋上に入った。
先客がいた奥の方まで進んだ。

何だか不思議な感じだった。


「一年?」

外を眺めてた俺に問いかけが降ってきた。

「一年。あんたもだろ?見たことない顔だけど・・・」

その回答を聞いた先客は俺をじろじろと見てから、

「にしてはちょっと小さ――」
「何か言いたいことでも?」

俺はタブーを言いそうになった先客に向かって拳を突きつけた。

「いや、なんでもない」

空気を読んだ、先客は続きは口にしなかった。
人が気にしていそうなことを無闇に言わないでほしいな、全く。

先程の言葉は俺の気分をもの凄く害するものだったが、ここが屋上だったので俺は普段のような怒りは抑えた。

「で、何してんの?」
「サボり」

俺は即答する。分かりきった質問だから。
とか思いつつも俺も同じことを聞いた。

「あんたも?」
「まぁ、そんなとこかな」

つまりはサボりか。
今が授業中の時間帯だから当然のことだろうけど。

「君、名前は?」
「人に名前尋ねるときは自分からっていうの知らない?」
俺は我ながら素直じゃない性格なので名前言う気になれなかった。

「それもそうだな」
先客は微笑しながら言った。
「俺はロイ・マスタング。好きなように呼べばいいよ。君は?」

改めて律儀に言い直したロイという先客に、今度は素直に答えることにした。

「俺はエドワード・エルリック」

「エドワードね。いい名前だな。君によく似合ってる」
「・・・あんた、女タラシだろ。違う?」
「君は案外失礼なんだね。俺が遊び人みたいな言い方だな。フェミニストと言ってくれよ」
「フェミニストねぇ。・・・つーか俺はあたりまえに男だ」
「知ってるよ」

そう言いながらくくっと笑う声が聞こえた。
・・・俺が名前を呼ばずに「あんた」と言ったように、ロイと名乗った先客も俺のことを「君」と呼んだ。
俺とあんたは意外と見たもの同士なのかなっと、ふとそう思った。
見た目は全然ちがうけど。


また沈黙が続いた。
今度の沈黙は先程のよりも短かった。破ったのはまたロイと名乗った先客だった。

「―――君はユーレイを信じるかい?」

俺はいきなりな質問を問いかけられてきょとんとした。

「それは、つまり存在するのを信じるかってことだよな?」

いきなりこんなことを聞いてくる人間なんてそうそういないんじゃないかと思う。
しかも相手はまだ出会って間もない。
けれども此方の顔を見て問てきたその顔があまりにも真剣だったから、俺もその問いに真剣に考えてみた。

「俺には答えられないな。見えたことないし」
「・・・・・・見えてるよ」
「へ?」


「ユーレイなんだ、俺」


ユーレイナンダ、オレ。

困惑しきった俺は、かろうじて目をぱちくりという表現が正しい瞬きしかできなかった。
何が何だか分からなかった。信じられなかった。
俺の聞き間違いなんじゃないかと、そう思った。
脳は固まって、ただひたすらに目の前のそいつが言ったことをリピートしていた。。
けど、次の瞬間その自らを“ユーレイ”と名乗ったそいつは、とんでもない『爆弾』を俺に墜としていった。


――俺の、額に、キスをした。


訳が分からなかった。
俺は今、こいつに、キスされたのか?
頭の中はその『爆弾』のお陰で固まっていた脳はパニック状態に陥った。
頭の中がいっぱいいっぱいでパンクしそうだ。

しかしそいつからするとそんな俺のことはお構いなしに言葉を続けた。


「・・・・・・ユーレイが願い・未練を叶えるには、
 人間と契約して霊界から出される課題にクリアしなければならない。
 俺に出された課題は
 『その人間の失ったものを見つけて、それをつくる手助けをすること』
 契約解消方法は2つ。一つはユーレイが課題をクリアすること。
 もう一つはそのユーレイの契約解消条件を人間が呑むこと。
 俺の契約解消条件は―――、」

いつの間にか俺の目の前まで来ていたそいつは、
俺の耳元で消えてしまいそうな小さな声で囁いた。


「君が俺のことを好きになること」


目の前の“ユーレイ”は心底楽しそうに微笑んでいた。





To Be Continued .....







いろいろとごちゃごちゃとしてますが、多分次のでいろいろと説明してくれるかと思います^^
・・・長編予定なので気長にお付き合いしてくださると嬉しいです。

※このお話は『ふーことユーレイシリーズ』のパロディとなってます。




テーマ : 鋼の錬金術師 - ジャンル : アニメ・コミック